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考え方の研修で社員が変わる! 組織力を高める育成アプローチ 固定観念をほぐし、行動変容を生み出す“マインドセット設計”の実践ポイント

●スキルはあるのに、なぜ動かないのか?

「能力はあるはずなのに、自分からは動かない」
「研修では理解しているのに、現場では行動が変わらない」

そんなもどかしさを感じたことはないでしょうか。

多くの企業で、専門スキルや業務知識の教育は充実しています。
にもかかわらず、主体性や挑戦意欲が思うように高まらない――。
その背景には、スキル不足ではなく“考え方”の壁があることが少なくありません。

たとえば、「失敗してはいけない」「前例がないことはやらないほうがいい」「上司の指示を待つのが無難だ」といった無意識の前提。
これらは本人を守る一方で、行動の幅を狭めています。
悪気はなくても、結果として組織全体のスピードや挑戦力を鈍らせてしまうのです。

環境変化が激しい今、求められるのは正解を知っている人材ではなく、自ら考え、動き、学び続ける人材です。
そのためには、知識やスキルの前にある“ものの見方”を見直す必要があります。

だからこそ今、注目されているのが考え方の研修(マインドセット研修)です。固定観念をほぐし、行動の前提を整えることが、組織変革の第一歩になるのです。

1.なぜ今、「考え方の研修」が必要なのか

スキル教育を重ねても、行動が変わらない――。
その背景には、社員一人ひとりが無意識に抱える「前提」や「思い込み」があります。
変化の激しい時代だからこそ、成果を左右する“考え方”に目を向ける必要があります。

⑴スキル強化だけでは、成果が頭打ちになる時代

多くの企業では、業務スキルや専門知識の研修が体系的に整備されています。
しかし現場では、「学んでいるのに、行動が変わらない」という声が後を絶ちません。

たとえば、改善提案を求めても沈黙が続く。
新しい取り組みを打ち出しても、「前例がない」「様子を見たい」と動きが鈍る。

これは能力の問題でしょうか。
多くの場合、そうではありません。背景にあるのは、無意識の前提や固定観念です。

「失敗は評価を下げるものだ」
「上司の指示がないと責任を取れない」
「自分の役割はここまでだ」

こうした思い込みは、本人を守る一方で、行動の幅を狭めます。
どれだけスキルを教えても、その土台となる考え方が変わらなければ、実践は限定的になります。

⑵不確実な時代に求められる“前提を疑う力”

市場や顧客ニーズ、働き方は急速に変化しています。
正解が長く通用する時代ではありません。

求められるのは、「正しい答えを覚える力」ではなく、
状況に応じて前提を問い直し、最適解を探る力です。

そのためには、

  • 失敗を学習機会と捉える視点
  • 自分の役割を広く捉える姿勢
  • 他者の意見を受け止める柔軟性

といった、マインドセットの転換が欠かせません。

ここに手を入れないままスキル教育を積み上げても、組織は「知識はあるが、動きが遅い」状態に陥ります。

⑶組織文化を変える第一歩として

考え方の研修は、単なる意識啓発ではありません。
社員一人ひとりの前提が変わることで、対話の質が変わり、挑戦が増え、結果として組織文化そのものに影響を与える施策です。

「うちは変わらない」という空気が、
「まずやってみよう」に変わる。

この転換が起きたとき、スキル研修の効果も飛躍的に高まります。

今、組織の成長を加速させたいのであれば、スキルだけでなく、その土台となる“考え方”に目を向けることが不可欠です。

2.考え方の研修で何が変わるのか

考え方の研修は、単なる意識向上ではありません。
受け身の姿勢を自律へと転換し、固定観念をほぐし、対話の質を変えることで、個人と組織の行動を着実に変えていくアプローチです。

① 受け身から「自ら考える人材」へ

考え方の研修がもたらす最も大きな変化は、受け身の姿勢から自律的な姿勢への転換です。

たとえば、これまで「指示を待つ」「言われたことを正確にこなす」ことを重視してきた社員が、「目的は何か」「もっと良いやり方はないか」と自ら問い始める。

この変化は、外から見ると小さく見えるかもしれません。
しかし現場にとっては、大きな違いです。

  • 指示を待つ時間が減る
  • 判断スピードが上がる
  • 改善提案が増える

こうした積み重ねが、組織の実行力を底上げします。

あなたの職場ではどうでしょうか。
「どう思う?」と聞いたとき、意見が返ってきていますか。

考え方の研修は、「自分の頭で考えることが求められている」というメッセージを明確にし、その練習機会を提供します。

② 固定観念がほぐれ、選択肢が増える

多くの行動制限は、能力不足ではなく思い込みから生まれます。

「うちは変われない」
「上司が決めることだ」
「自分には影響力がない」

こうした前提は、本人も無意識で抱えていることがほとんどです。

考え方の研修では、ケーススタディや対話を通じて、「それは事実か、それとも解釈か?」と問い直します。

すると、

  • 別の見方があることに気づく
  • 選択肢が増える
  • 試してみようと思える

という変化が起こります。

重要なのは、無理にポジティブにさせることではありません。
視野を広げることです。

見方が変われば、行動の幅が広がります。
それが結果として、成果につながっていきます。

③ チームの対話と空気が変わる

考え方の変化は、個人にとどまりません。
チーム全体の雰囲気にも波及します。

  • 他責から自責へ
  • 批判中心の議論から、建設的な議論へ
  • 沈黙から、発言へ

この変化が起きると、心理的安全性が高まり、挑戦しやすい環境が生まれます。

「間違ったらどうしよう」ではなく、「まず出してみよう」という空気が醸成されるのです。

考え方の研修は、単なる意識向上施策ではありません。
個人の行動変容を通じて、組織の対話の質そのものを変えるアプローチです。

そして、対話が変われば、判断が変わり、実行が変わります。
その積み重ねが、組織力の向上へとつながっていくのです。

3.成果を出す「考え方研修」の設計ポイント

考え方の研修は効果が見えにくい、と言われることがあります。
しかし実際には、設計次第で成果は大きく変わります。
ここでは、行動変容につなげるための3つのポイントを整理します。

ポイント① 抽象論で終わらせず、「行動」に落とす

「主体性を高める」「前向きになる」といった表現は分かりやすい一方で、現場では曖昧になりがちです。
そこで重要なのが、考え方を“行動レベル”で定義することです。

たとえば、

  • 会議で必ず一度は意見を出す
  • 課題に対して代案を一つ提示する
  • 失敗後に“次の一手”を言語化する

このように具体化すれば、研修後に「できたかどうか」を確認できます。
考え方は目に見えませんが、行動は測れます。
ここを設計することが、成果の第一歩です。

ポイント② 自社のリアルな課題と結びつける

もう一つの落とし穴は、「いい話だった」で終わることです。
汎用的な内容だけでは、受講者の腹落ちは起こりません。

効果を高めるためには、

  • 自社の実際の課題をテーマにする
  • 現場の具体事例をケースに使う
  • 受講者同士で対話させる

といった工夫が欠かせません。

「これは自分たちの話だ」と感じた瞬間、学びは自分事になります。
考え方の転換は、外から与えられるものではなく、自ら気づくプロセスの中で起こるのです。

ポイント③ 研修後の“軽い仕組み”を先に設計する

行動変容は一日では起こりません。
だからこそ、研修前の段階でフォローの仕組みを設計しておくことが重要です。

おすすめなのは、「軽く、でも途切れさせない」仕組みです。

  • 1週間後の簡単な振り返り
  • 1か月後の実践共有
  • 上司との1on1での一言確認

重いレポートや厳密な評価制度は不要です。
大切なのは、学びを思い出す“接点”を持ち続けることです。

考え方の研修は、単発イベントでは成果が出にくいテーマです。
しかし、行動に落とし込み、現場と結びつけ、継続の仕組みを用意すれば、確実に組織の空気は変わります。

成果を分けるのは内容の良し悪しだけではありません。
設計の質こそが、考え方研修の成否を決める鍵なのです。

4.マネージャー・リーダーの役割が成否を分ける

考え方の研修は、受講者だけに委ねていては成果が出にくいテーマです。
なぜなら、マインドセットは日常の環境によって強化も弱化もされるからです。

つまり、研修の成否を分ける最大の要因は、現場のマネージャーやリーダーの関わり方にあります。

① 研修内容に“触れ続ける”ことが重要

研修後、上司が何も触れなければ、受講者はこう感じます。
「いい話だったけれど、現場では特に求められていないのだな」と。

逆に、たった一言でもいいのです。

  • 「研修で印象に残ったことは?」
  • 「最近、考え方を変えてみたことはある?」

この問いかけがあるだけで、学びは“継続テーマ”になります。

考え方の変化は、思い出す回数が多いほど定着します。
その接点をつくれるのは、日常で接している上司です。

② 挑戦を“評価対象”にする

考え方の研修では、「失敗から学ぶ」「まずやってみる」といった姿勢を扱うことが多くあります。
しかし、現場で挑戦が評価されなければ、行動は続きません。

マネージャーができるのは、結果だけでなくプロセスや姿勢を承認することです。

たとえば、

「今回の提案は通らなかったけれど、挑戦したこと自体が価値だ」
「次はどう改善できるか、一緒に考えよう」

こうした声かけは、心理的安全性を高め、挑戦のハードルを下げます。

③ 失敗を“学習機会”として扱う

組織文化は、リーダーの反応で決まります。
失敗した部下に対して、叱責が先に来るのか、問いが先に来るのか。

「なぜできなかった?」ではなく、
「そこから何を学んだ?」と問い直す。

この違いが、組織のマインドセットを形づくります。

考え方の研修は、研修室の中だけで完結しません。
むしろ、本番は現場です。

マネージャーやリーダーが、

  • 問いかける
  • 承認する
  • 学びを引き出す

この3つを意識するだけで、研修効果は大きく跳ね上がります。

人は、置かれた環境に合わせて変わります。
そしてその環境をつくるのは、リーダーの姿勢です。
考え方を変えたいのであれば、まず変わるべきは誰か。
その問いこそが、組織変革の出発点になるのです。

5. 考え方の研修は“組織文化”への投資である

考え方の研修は、「その場の気づき」で終わらせてしまうには、あまりにも影響範囲の大きいテーマです。
本質的に目指しているのは、個人の意識変容ではなく、組織文化の変化だからです。

組織文化とは、「この会社では何が良しとされるか」という暗黙の前提です。
挑戦が歓迎されるのか、無難さが評価されるのか。
意見を言う人が評価されるのか、波風を立てない人が評価されるのか。

こうした空気は、制度よりも強く、人の行動を左右します。

考え方の研修が機能すると、次のような変化が起こります。

  • 「失敗=減点」から「失敗=学習機会」へ
  • 「前例踏襲」から「目的志向」へ
  • 「他責」から「自責」へ

この転換は一気には進みません。
しかし、少しずつ前提が書き換わることで、組織の意思決定や対話の質が変わっていきます。

たとえば、会議での発言数が増える。
若手が提案を出すようになる。
上司が問いかけ型の対話をするようになる。

これらは一見、小さな変化です。
しかし積み重なれば、挑戦と学習が循環する組織へと進化します。

重要なのは、考え方の研修を単発のイベントとして扱わないことです。
スキル研修の“前提づくり”として位置づけることで、他の育成施策の効果も高まります。

制度改革や評価制度の見直しも重要です。
しかし、制度だけでは人は動きません。
最終的に行動を決めるのは、「自分はどう考えるか」という内面の基準です。

だからこそ、考え方の研修はコストではなく、組織の未来への投資なのです。

目に見える成果が出るまでには時間がかかるかもしれません。
しかし、

前提が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、結果が変わる。

その連鎖を生み出す最初の一歩が、考え方という土台に手を入れることなのです。

6.“考え方”に手を入れることが、最大のレバレッジになる

スキルを磨くことも、制度を整えることも重要です。
しかし、それらを実際に活かすのは「人」です。

その人がどんな前提で物事を捉え、どんな基準で判断しているのか。
ここに手を入れなければ、どれだけ施策を重ねても成果は限定的になります。

考え方は、すべての行動の出発点です。
前例に縛られるのか、目的から考えるのか。
失敗を恐れるのか、学びと捉えるのか。

この違いが、日々の小さな判断を変え、やがて組織全体のスピードと質を左右します。

考え方の研修は、劇的な変化を一瞬で起こす魔法ではありません。
しかし、前提を少しずつ書き換え、対話と挑戦を増やしていく力を持っています。

もし今、「人はいるのに成果が伸びない」と感じているなら、
見直すべきはスキル不足ではなく、“考え方という土台”かもしれません。

土台が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、組織は確実に変わります。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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