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OJTが形骸化していない?OJTトレーナー研修で新人育成を仕組み化するコツ 「任せっぱなし」から脱却——OJTを“再現可能な育成プロセス”に変える設計

●そのOJT、成果に結びついていますか?

新人が現場に配属され、「先輩の仕事を見て覚えて」と言われる。
そんな光景は、今も多くの企業で見られます。
しかし現場の忙しさの中で、教える時間が取れず、結果として「教えたつもり」「覚えたつもり」のOJTになっていないでしょうか。
新人が何をどこまでできるようになれば合格なのか、到達基準があいまいなまま進むと、トレーナーによって教え方や評価の基準がバラバラになります。
その結果、育成のスピードにも大きな差が生じ、「あの部署の新人は戦力化が早いが、こちらは時間がかかる」といった状況が起こります。

OJTが形骸化してしまう最大の原因は、「育成を仕組みではなく、人に依存していること」です。
現場の経験豊富な先輩がいる間はなんとか回っても、担当者が変わればゼロからやり直し。これでは持続的な人材育成にはつながりません。

今、求められているのは「教える人を育てる」仕組みです。OJTを、単なる“現場任せの指導”から、設計された育成プロセスに変えることです。
そのために有効なのが、OJTトレーナー研修です。
本コラムでは、OJTを再現性のある育成サイクルへと変えるための設計ポイントを、研修の進め方やツール例を交えて紹介します。
OJTを「頑張り」で乗り切る時代から、「仕組みで成果を出す」時代へ。
あなたの職場のOJTを、もう一度見直してみませんか。

1.なぜOJTは形骸化するのか——3つの構造要因

多くの企業で「OJTをやっています」と言いながらも、その実態は“属人化した個人指導”にとどまっています。
形式上はOJT担当者を任命していても、目的や到達基準が共有されていなければ、それは「OJT」という名のもとに行われている“現場任せの育成”です。
では、なぜOJTは形骸化してしまうのでしょうか。
その背景には、3つの構造的な要因があります。

⑴属人化――指導が人に依存している

最も大きな問題は、OJTが「先輩次第」になっていることです。
教える内容・方法・基準が個人の経験や感覚に頼っており、同じ業務でも教え方がバラバラ。
ある先輩は丁寧にプロセスを分解して教える一方、別の先輩は「見て覚えて」と一言で済ませてしまう。
結果として、新人の成長スピードや理解の深さに差が生じます。

本来、OJTとは「個人の経験を再現可能にするための仕組み」であるはずです。
しかし、教え方の型(How)や評価の基準(What)が明文化されていないために、OJTが「属人化した育成」に陥ってしまっているのです。

⑵無設計——業務を学習プロセスとして捉えていない

OJTの二つ目の課題は、設計の欠如です。
多くの現場では「日々の業務の中で覚える」ことが前提になっていますが、業務は必ずしも学習に最適化されていません。
たとえば、「顧客対応を任せる」「資料を作らせる」といった指示はあるものの、それがどんな知識やスキルを習得するためのステップなのかが定義されていません。
学習には、「目的」「順序」「到達ライン」が必要です。それがないOJTは、単なる“経験の場”に過ぎず、学びが断片的になります。
新人は「できたつもり」で終わり、トレーナーも「教えたつもり」で満足してしまいます。
OJTが学習プロセスとして機能するためには、業務を学習単位(タスク)に分解し、学ぶ順序と到達基準を設計する必要があります。

⑶無評価——成果を測る仕組みがない

最後の要因は、評価が曖昧なことです。
多くの現場では「そろそろ一人でできるだろう」といった感覚で判断しており、明確なチェック項目や合格基準がありません。
結果として、トレーナーによる“合格”の意味が統一されず、育成のばらつきが広がります。
また、OJTの成果を定量的に追っていないため、「教えた時間」「成長度」「生産性への貢献」が可視化されず、上司もトレーナーの努力を評価しにくいという構造的問題があります。
その結果、トレーナー自身のモチベーションも低下し、OJTが「やらされ仕事」になってしまうのです。

こうした属人化・無設計・無評価の3つの要因が重なることで、OJTは「教える仕組み」ではなく「現場任せの育成作業」に変質します。
言い換えれば、OJTが形骸化しているのは、指導者の意識の問題ではなく、仕組みそのものの欠陥なのです。
だからこそ必要なのは、個人の力量に依存せず、誰が担当しても一定の成果が出せる“再現性のあるOJT設計”です。

2.仕組み化の原則——教える人を育てる5つの視点

OJTを「人任せの指導」から「組織的な育成プロセス」に変えるためには、トレーナー自身が“教える力”を身につけることが欠かせません。
多くの企業では「現場経験が豊富だから」「人当たりが良いから」という理由でOJT担当が選ばれますが、経験と指導力は別物です。
優れたトレーナーを育てるには、OJTを設計→運用→定着の観点で体系化する必要があります。ここでは、OJTを仕組み化するための5つの視点を紹介します。

⑴何ができるようになるかを明確にする

まず大切なのは、育成のゴールを明文化することです。
OJTの目的を「新人が仕事を覚えること」とだけ定義していては曖昧すぎます。
たとえば「入社3か月で受注処理を単独で完了できる」「顧客対応を手順書なしで行える」といった、行動で測定できる到達基準を設定することが重要です。
ゴールが具体的であればあるほど、教える内容と順序が明確になり、評価もしやすくなります。
逆にゴールが不明確なままでは、「いつまでに、どのレベルまで」が定義されず、指導が感覚的になってしまうのです。

⑵教える順序を設計する

次に必要なのは、業務を学習しやすい単位に分解することです。
OJTを進めるうえでありがちな失敗は、「一度にすべてを教えようとする」ことです。
これでは新人が情報を処理しきれず、定着しません。
業務を30〜90分で完結する“学習単位(タスク)”に分け、単位ごとに「知識(Know)」「行動(Do)」「背景理解(Why)」を整理します。
これにより、「何を、どこまで、どの順で教えるか」が共有され、誰が担当しても同じ育成ステップをたどることができます。

⑶教え方の型で再現性を高める

OJTが属人化する最大の理由は、「教え方が人によって違う」ことです。
そこで有効なのが、OJT-4STEP(示範→分解→実演→自走)という型です。
まず、トレーナーが手本を見せ(示範)、重要ポイントを言語化して説明(分解)し、新人が実際にやってみて(実演)、最後に自らの手で再現できるかを確認(自走)します。
このプロセスを意識することで、「見せた・やらせた」だけで終わらず、理解・実践・定着の段階を踏んだ効果的なOJTが実現します。

⑷進捗と成長を可視化する

「どこまでできるようになったのか」が不明確だと、トレーナーも新人も成長を実感できません。
学びを見える化するには、チェックリストや進捗ボードを活用します。到達基準を一覧にし、習熟状況を「できる・できない・要再指導」で記録。週次レビューで共有することで、現状のギャップと次に学ぶべき内容が明確になります。
さらに、OJTのプロセスが見える化されることで、他部署やマネージャーも支援しやすくなります。

⑸フィードバックと称賛の仕組み——行動を継続させる

OJTの成果は、教えた回数ではなく、新人が行動を繰り返すことで生まれます。
そのためには、「できたことを認める」「改善点を明確に伝える」という両輪のフィードバックが不可欠です。
週1回のレビュー面談で行動を振り返り、良い行動を具体的に承認することで、学びがポジティブに循環します。
また、承認はトレーナー自身のモチベーション維持にもつながります。

この5つの視点を押さえることで、OJTは「やって終わりの指導」から「成長を実感できる育成プロセス」へと変わります。
OJTの仕組み化とは、新人を育てるだけでなく、“教える人を育てる”組織力を磨く取り組みなのです。

3.OJTトレーナー研修の設計——半日×2回+4週間伴走

OJTを仕組みとして定着させるためには、トレーナー自身が「教え方の型」「現場で回す仕組み」の両方を体得する必要があります。
単発の座学ではなく、「学ぶ→試す→振り返る」サイクルを設計することがポイントです
そこで効果的なのが、半日×2回の研修+4週間の現場伴走期間を組み合わせたモデルです。
短期間でも行動変容を促し、現場定着率を高める構成です。

【DAY1:設計と教え方の型を学ぶ(半日)】

初回は、OJTの目的とトレーナーの役割を明確にし、「OJTを仕組みとして動かすための設計力」を磨きます。
前半では、OJTが形骸化する構造的要因を解説し、到達基準の書き方、業務の分解方法、OJT-4STEP(示範→分解→実演→自走)の進め方など、教え方の共通言語を共有します。
後半は、演習中心です。自部門の業務をもとに学習単位(タスク)を洗い出し、1つひとつに「行動で測定できる到達基準」を設定します。
さらに、実際の指導場面を想定し、3分間マイクロティーチングで“教える練習”を行います。
講師や他の受講者からのフィードバックにより、トレーナー自身の言語化力と説明力が磨かれます。
最後に、次回までの課題として「90日育成ロードマップ」を作成し、新人が自走できるまでのステップを可視化し、現場で試す準備を整えます。

【現場実践:4週間の伴走期間】

DAY1で作成した育成設計をもとに、4週間の現場実践フェーズに入ります。
この期間の目的は、「知っている」を「できる」に変えることです。
実際の新人指導の中で、学習単位ごとにOJT-4STEPを試し、観察記録を残します。
週1回のミニレビュー(15分)では、教えた内容、うまくいった点、つまずいた点を整理
上司や同僚とのピアコーチング(※)を行うことで、他トレーナーの工夫や気づきを共有します。
また、進捗や指導量を「可視化ボード」で見える化することで、育成の“滞り”が早期に発見できます。
上司もデータをもとに支援できるため、OJTが個人任せにならず、チーム全体で育てる文化が醸成されます。

※ピアコーチング:上司と部下のような上下関係ではなく、仲間(ピア)同士が対話を通じて互いの目標達成や成長を支援し合うコミュニケーション手法。

【DAY2:難所対応と定着化を学ぶ(半日)】

2回目の研修では、現場実践で直面したリアルな課題を共有し、「難しい場面での指導力」を高めます。
典型的なケースとして、「忙しすぎて教える時間がない」「同じミスを繰り返す」「新人が受け身になる」といった悩みを扱い、ロールプレイで解決策を練習します。
講師は、質問の立て方(オープン→絞り込み→確認)や、再指導の仕組みづくりなど、実践的なテクニックを示し、受講者同士で意見を交換。成功事例と失敗事例を共有することで、現場で応用できる引き出しを増やします。

最後に、各自が作成した「到達基準カード」や「チェックリスト」を持ち寄り、全員でOJT標準テンプレートを共同編集。
これを社内の共通フォーマットとして展開することで、研修で得た学びが現場全体の仕組みに変わります。

DAY1で設計し、4週間で実践し、DAY2で定着させるという流れを組むことで、OJTは「一過性の研修」から「現場で回る育成サイクル」へと変わります。
OJTトレーナー研修の目的は、単に“教えるスキル”を学ぶことではなく、人を育てる仕組みを現場に根づかせることです。
その第一歩が、この「半日×2回+4週間伴走」の設計なのです。

4.導入ステップ——小さく始め、大きく広げる

OJTを本当の意味で仕組み化するには、研修を一度実施して終わりではなく、現場で回り続ける仕組みとして浸透させる必要があります。
特に、多忙な現場では「仕組みづくり」よりも「目の前の仕事」が優先されがちです。
そのため、最初から全社展開を狙うのではなく、小さく始めて、成功事例を積み上げて広げることが定着の鍵になります。
ここでは、OJT導入を成功させるための4つのステップを紹介します。

(Step1)パイロット導入——まずは“やる気のある部署”から始める

最初の一歩は、意欲の高い部署や育成課題の明確なチームで小規模な試行を行うことです。
いきなり全社で始めると、理解度や温度差が大きく、形だけの運用に陥るリスクがあります。
パイロット部署では、「OJTトレーナー研修」を受けた担当者が中心となり、到達基準カード進捗ボードなどのツールを使って実践します。
効果測定として、育成期間の短縮率や新人・トレーナー双方の満足度を数値化します。
成功事例が見える形で蓄積されると、「うちの部署でもやりたい」という声が自然に広がり、社内の理解が深まります。

(Step2)テンプレートとツールの標準化——仕組みを“誰でも使える”形に

次の段階では、パイロットで得た成果をもとに、社内共通のOJTツール群を整備します。
たとえば、到達基準カード、OJTチェックリスト、週次レビューシート、進捗ボードなどを統一し、「誰が担当しても同じ手順で教えられる仕組み」をつくります。
この段階では、ツールを配るだけでなく、使い方マニュアルやミニ動画などを整備し、誰でもすぐ運用できる状態にすることが大切です。
また、OJTを「新人教育担当者だけの仕事」にせず、上司やチーム全体で支援する文化を並行してつくることが、仕組みの持続性を高めます。

(Step3)マネージャーを“仕組みの担い手”に育てる

OJTを現場に根づかせるには、トレーナー任せではなく、マネージャーが仕組みを回す責任者になることが不可欠です。
管理職研修などで、OJTの目的や効果指標を共有し、週次1on1やミーティングで育成進捗をレビューする仕組みを組み込みます。
たとえば、進捗ボードをもとに「今週の成長ポイント」「次のステップ」を確認し、トレーナーの悩みを早期に把握して支援します。
また、マネージャー自身の評価項目に育成KPI(トレーナー支援・新人自立率など)を設定することで、OJTを“組織の成果指標”として扱うようになります。

(Step4)ナレッジ共有と称賛文化の定着——OJTを“誇れる取り組み”に

最後に、OJTを単なる教育制度ではなく、組織文化の一部として根づかせる段階です。
具体的には、社内ポータルや掲示板などで「成功事例」「良い教え方の工夫」「育成の気づき」を共有し、社内ナレッジとして蓄積します。
特に効果的なのが、四半期ごとの「OJTアワード」や「ベストトレーナー表彰」です。
数値成果だけでなく、称賛コメントや新人の成長ストーリーも合わせて紹介することで、全社的なモチベーションが高まります。

この4ステップを踏むことで、OJTは“属人的な指導”から“組織が支える仕組み”へと進化します。
大切なのは、最初から完璧を目指さず、小さく始めて確実に成功体験を積むことです。
その成功を見える化し、標準化して横展開することで、OJTは現場の中に自然に根づいていきます。
「教える文化」と「育つ文化」が循環する組織こそ、次世代の戦力を生み続ける企業へと成長していくのです。

5.OJTは人ではなく仕組みで強くなる

多くの企業では、OJTの成果が「教える先輩の力量」に大きく左右されています。
熱心な人が担当すれば育成が進む一方で、忙しさや経験不足のある現場では形だけのOJTになってしまう。
このばらつきこそが、育成の再現性を阻む最大の壁です。OJTを持続的に機能させるには、人に依存しない仕組みづくりが不可欠です。

その核となるのが、到達基準の明確化と学習単位の設計、そして教え方の型化(OJT-4STEP)です。
加えて、進捗を見える化し、週次レビューや称賛フィードバックで行動を循環させることで、トレーナーも新人も成長の実感を得られるようになります。
これらを支えるのが、OJTトレーナー研修という「教える人を育てる仕組み」です。

OJTを仕組みで動かす企業は、誰が担当しても一定の成果を出せる“育成力の高い組織”へと変わります。
まずは一部署、ひとつのチームから始めること。小さな成功を積み上げ、共通の型として展開していけば、組織全体の人材育成は確実に強くなります。
OJTは、教える人の努力ではなく、仕組みの成熟度で成果が決まるのです。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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