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マネジメントの「型」を習得させるための効果的な研修手法は?実践力を引き出す「学び方」のデザインとは

●なぜ「型」を教える必要があるのか?

マネジメント研修を設計する中で、こんな悩みに直面したことはありませんか?

「座学で知識を教えたのに、現場で活かせない」
「ケーススタディをやっても、実務では動けない」

もしかすると、それは「型を習得させる仕組み」が不足しているからかもしれません。

武道や芸術の世界では、必ず「型」を学ぶことから始まります。
マネジメントも同じ。まずは基本形を体得することで、初めて応用力が身につくのです。

本記事では、マネジメントの「型」を確実に習得させるための効果的な研修手法を、実践例を交えながらご紹介します。これから研修を企画・見直す場合は、ぜひ参考にしてください。

1.そもそも、マネジメントにおける「型」とは何か

マネジメント力を伸ばすうえで、まず押さえたいのが「型」の重要性です。
マネジメントにおける型とは何か、なぜ必要なのかを考えてみましょう。

⑴「知識」ではなく「行動パターン」

マネジメントの「型」とは、単なる理論や知識の習得ではありません。
一言で言えば、「具体的な行動パターン」「反射的に動ける型」を意味します。

たとえば、次のような場面をイメージしてみてください。

  • 部下から相談を受けたとき、どんな順序で話を聴くべきか
  • プロジェクトのトラブル発生時、何を優先して確認すべきか
  • 部下のモチベーションが低下しているとき、どんな声がけをすべきか

これらは、単なる「知識」だけでは対応できません。
現場では、考える余裕が少ない中で、自然に体が動くレベルで行動パターンが定着していることが求められます。

つまり、「型」とは、

  • 判断基準
  • 優先順位
  • 言葉の選び方
  • 行動手順

まで含めた、実務レベルでの動き方のテンプレートなのです。

【具体例】部下からミス報告を受けたとき

例えば、部下がミスを報告してきたとき、マネジャーに求められる基本の「型」は以下です。

  1. まず冷静に受け止める…感情的にならない
  2. 事実を整理する…いつ・どこで・何が起こったか
  3. 影響範囲を特定する…どこまで問題が波及するか
  4. 初動対応を指示する…被害の拡大を防止する
  5. 再発防止策を検討する…再発を防ぐ

これを体に染み込ませておけば、たとえ想定外のミスが起きても、慌てることなく行動できます。

2.なぜ「型」を重視すべきなのか

では、なぜマネジメントにおいて「型」を重視する必要があるのでしょうか。
理由は大きく3つあります。

⑴スピードが要求されるから

現場では、迷ったり、指示を出し損ねたりする「一瞬の遅れ」が、大きな損失に直結することがあります。

「考えてから動く」のでは間に合わない場面も多いのです。
型を持っていれば、瞬時に正しい対応ができるようになります。

⑵チームメンバーに安心感を与えるため

マネジャーがその場その場で態度や判断を変えると、部下たちは不安になります。
「上司がどう動くか読めない」と、組織全体の士気も下がってしまうでしょう。
一方で、一貫した「型」で動く上司には、部下たちも安心して相談しやすくなります。

⑶自己流では限界があるから

マネジメントの「自己流」は危険です。
上手くいっているうちはいいのですが、トラブルが発生したときや部下のタイプが変わったときに、途端に機能しなくなるリスクがあります。
汎用性の高い「型」を身につけていれば、状況が変わっても対応できます。
その上で、経験を重ねる中で少しずつ「型破り」もできるようになっていくのが、理想的です。

マネジメントの「型」とは、最短距離で成果を出すための道しるべです。
型がなければ、成果を出すまでに試行錯誤の無駄が多くなり、失敗経験ばかりが増えてしまいます。
最初に正しい「型」を習得すれば、短期間で一定の成果を出し、自信をつけ、さらに応用力も高めることができるのです。

3.型を習得させるために失敗しやすい研修の特徴

型を習得させるには、それに適した研修設計が必要です。
特に失敗を招きやすい2つのパターンを中心に整理し、なぜうまくいかないのかを掘り下げていきます。

⑴「座学中心」の落とし穴

マネジメント研修でよく見られるのが、座学中心型の設計です。
もちろん、理論やフレームワークを知ることはスタートラインとして重要です。
しかし、知識の伝達だけでは型は習得できないという点に注意が必要です。

【座学中心型研修の問題点】

たとえば、「フィードバックの重要性」をいくら座学で学んでも、いざ部下を目の前にすると「どう言葉を選べばいいか」「どのタイミングで言えばいいか」で迷いが生じます。

マネジメントの「型」は、頭で理解するだけでは意味がありません。
身体感覚レベルで自然に動ける状態を目指すべきなのです。

⑵ケーススタディ「だけ」に頼る危うさ

もう一つ陥りがちなのが、ケーススタディだけに依存するパターンです。
最近では、「参加型研修」としてケーススタディを多用するスタイルが増えていますが、
ただ考えるだけでは、行動は変わらないという点に注意が必要です。

【ケーススタディ偏重型研修の問題点】

  • 問題分析や判断力は鍛えられるが、実際に動く力はつかない
  • 仮想事例なので、リアルな感情やプレッシャーを体感しにくい
  • 頭ではわかったが、「体が動かない」まま終わりがち

たとえば、会議運営のケーススタディで「こうまとめればよかったですね」と議論しても、
いざリアルな会議で意見が錯綜したときに、冷静に場をまとめる行動は取れない…
そんなギャップが生まれてしまうのです。

ケーススタディは、あくまで考えるトレーニングであり、行動パターンの反復練習とは異なるものなのです。

知識や思考の習得に偏った研修では、型は定着しません。
マネジメントの型を本当に習得させるためには、

  • 知識のインプット
  • 考えるトレーニング(ケーススタディ)
  • 行動を反復するトレーニング(ロールプレイ、実践演習)

この3つをバランスよく組み込むことが不可欠です。

4.「型」を定着させるための効果的な研修設計

マネジメントの「型」は、一度教えただけで定着するものではありません。
行動に結びつくまでの正しいステップと、効果を高める工夫を取り入れることが重要です。
ここでは、まず基本となる研修設計の流れを整理して、さらに効果をさらに高めるための工夫をご紹介します。

⑴型を定着させるための基本プロセス

まずは、マネジメントの型を身につけてもらうために必要な4つの基本プロセスを押さえましょう。

プロセス①:理想的なイメージを描かせる

最初に行うべきは、理想的なマネジメント行動のモデルを提示することです。
受講者にとっての「目指すべき具体像」がなければ、何を習得すればよいかがぼやけてしまいます。

例えば、

  • 優れたマネジャーによる面談動画を見せる
  • 理想的なフィードバック例を紹介する
  • 問題対応への良い事例・悪い事例を比較して示す

といった方法が有効です。

「できている姿」を具体的にイメージできるようにすることが大切です。

プロセス➁:行動に分解して具体化する

理想像が描けたら、次は行動単位に分解して具体化します。
モデル行動を「何を」「どうやって」行ったのか、言語化・手順化して説明します。

例えば、「部下の報告を受けるとき」

  • 相手の表情を見ながら、肯定のあいづちを打つ
  • 要点を整理して復唱する
  • 解決策を押しつけず、部下自身に考えさせる質問を投げる

このように分解することで、受講者は動き方の手がかりを得られます。

プロセス③:実践演習で反復練習する

知識を得ただけでは、型は定着しません。
反復練習を通じて、動きを体に染み込ませる必要があります。

ここで有効なのが、

  • ロールプレイ
  • シミュレーションワーク
  • 実際の課題を想定したグループ演習

です。

重要なのは、1回で終わりにせず、複数回練習+振り返りをセットで繰り返すことです。

プロセス④:フィードバックと振り返りを行う

練習後は必ず、

  • 講師やファシリテーターからの具体的フィードバック
  • 自己振り返り(うまくできた点・課題点)

を実施します。

受講者自身が、「何ができたか」「何を直すべきか」を自覚できることで、行動改善のサイクルが回り始めます。

⑵成果をさらに高めるための工夫

基本設計を押さえたうえで、さらに効果を高めるためには以下の工夫が重要です。

工夫①:小さな成功体験を積み上げる

最初から完璧な型を求めると、受講者は委縮してしまいます。
そこで、

  • まずは、部下に3回質問してみる
  • 今日は、フィードバックの冒頭部分だけ意識する

といった、比較的ハードルの低い目標を設定します。
小さな達成感を繰り返すことで、「自分にもできるかも」という自信と行動意欲が高まります。

工夫②:本番に近いリアルな演習を設定する

現場に近い環境・設定で練習するほど、学習効果は高まります。
例えば、

  • 実際の自社の課題を使ったロールプレイ
  • 想定外の質問や反論が飛んでくるシナリオ
  • 時間制限を設けた緊張感のある演習

など、リアリティと負荷を適度にかける工夫が効果的です。

工夫③:次回の「実践アクション」を必ず設定する

研修が終わった瞬間が、学びを実務に移す最大のチャンスです。
そのため、研修終了時には必ず、

  • 明日からすぐに実行する「小さなアクション」
  • 1週間以内に試す「具体的な行動」

を受講者に書かせ、コミットしてもらうようにしましょう。

これにより、研修の学びが現場に定着しやすくなります。

5. 実際の研修設計例:こんな流れで進めよう

では、実際に研修を設計するときには、どのような流れで進めればよいのでしょうか。
ポイントや注意点も交えながら解説しますので、ぜひ研修設計に活かしてください。

ステップ1:知識インプット+理想モデル提示

最初のステップは、基本知識のインプットと理想の行動モデルの提示です。

具体的な内容

  • マネジメントに必要な基本理論(例:指導の型、フィードバックの基本など)をわかりやすく整理して伝える
  • 理想的なマネジャー像を動画やロールモデル事例で示す
  • 理論だけでなく、「現実にどのように動くか」をセットで見せる

ポイント

  • 完璧すぎる理想像は避ける(現実味がないと自己投影できない)
  • 理想行動の「なぜそれが大事なのか」も併せて解説する

ステップ2:行動分解と実践ポイント整理

次に、理想モデルを細かく分解し、行動単位で理解させるフェーズに入ります。

具体的な内容

  • モデル行動を「ステップ」「チェックポイント」「声かけ例」などに分解
  • シチュエーションごとの行動例を整理して示す

例:部下指導
→ ①受け止める → ②整理する → ③次の行動を促す

ポイント

  • 抽象論で終わらせず、手順レベルまで具体的に示す
  • 自分なら「どこでつまずきそうか」まで意識させるとより効果的

ステップ3:実践演習(ロールプレイ・グループワーク)

型を身体で覚えるためには、繰り返しの実践演習が不可欠です。

具体的な内容

  • ロールプレイ形式で、受講者同士が上司役・部下役を交代しながら練習
  • 小グループに分かれて、ケースごとに解決プロセスを体験
  • ロールプレイには「観察者役」を置き、フィードバック視点も育成

ポイント

  • 演習テーマは実務に即したものを設定する
  • 成功だけでなく、失敗体験もポジティブに共有する場づくりを心がける

ステップ4:フィードバックと振り返り

演習のあとは、必ずフィードバックと自己振り返りの時間を設けます。

具体的な内容

  • 講師やファシリテーターから「できた点」「改善点」を具体的にフィードバックする
  • 受講者自身にも「うまくいった点」「次に意識したい点」をシートに記入させる
  • グループ内で相互フィードバックを行う(気づきを共有する)

ポイント

  • フィードバックはできた部分を認めた上で改善点を伝える
  • 自己振り返りでは「次は何を意識するか」まで具体的に書いてもらう

ステップ5:現場でのアクションプラン設定

研修をやりっぱなしにしないため、現場で実践するアクションプランを設定します。

具体的な内容

  • 明日から取り組む具体行動を1~2個、各自で宣言してもらう
  • チーム単位で「やることリスト」をまとめ、共有する
  • 可能なら上司とも連携し、研修後フォローの仕組みを作る

ポイント

  • 行動目標は「小さく具体的」にする

例:「部下に一言声をかける」「会議で質問を1回する」など

  • できるだけ行動後すぐに達成感を得られるものを選んでもらう

成果を出すマネジメント研修とは、単に知識を伝えるだけでなく、「現場で動ける型」を体得させる設計がなされている研修です。

知識 → 理解 → 体験 → 振り返り → 行動

このサイクルをきちんと回すことができれば、受講者たちは確実に、現場で活躍するマネジャーへと成長していきます。

6.型を作れば、現場で迷わなくなる

マネジメントにおいては、「型」を持つことが成功への近道です。
単なる知識習得ではなく、具体的な行動パターン(型)を体得し、現場で即座に動ける状態をつくることが、マネジャー育成に求められる本質です。

型を持つことで、マネジャーの現場での行動が変わります。

  • 突発的な問題にも落ち着いて対処できる
  • 部下とのコミュニケーションがスムーズになる
  • チームのパフォーマンスを安定して引き出せる

さらに、状況に応じてアレンジを加える「応用力」も育っていきます。
つまり、型とは、自由なマネジメントのための「土台」と言えます。

型を習得させることは、単なる個人のスキルアップにとどまりません。
組織のマネジメント力を底上げし、強いチーム文化を育てることにもつながります。

  • 誰もが基本行動を共有できる
  • 新任マネジャーの立ち上がりが速くなる
  • トラブル発生時の対応力が高まる

こんな未来をつくるためにも、今、「型を教える研修」の質を見直すことが重要です。
型をつくり育てる研修設計が、現場を変え、組織を強くする第一歩になるはずです。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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