社員研修のお悩みは

イントランスにお任せ

03-6904-2227

お気軽にお問い合わせください。

営業時間:9:00~17:00  休業日:土、日、祝日

メールでのお問い合わせは24時間受け付けております。

研修効果を “見える化” する!成果測定の仕組みづくりのポイント 受けっぱなしで終わらせない「評価設計」のすすめ

その研修、本当に成果が出ていますか?

「最近、研修はちゃんとやっているのに、成果を説明しづらい」──人事・研修担当の方から、こんな声をよく伺います。
受講者アンケートの満足度は高い。受講後コメントも好意的。
でも、現場のマネジャーに「結局、何が変わったのですか?」と聞かれると、言葉に詰まってしまう…。
そんな経験はないでしょうか。

研修は、時間も費用もかける「投資」です。
本来であれば、「やって終わり」のイベントではなく、組織の行動と成果を変えるための仕組みであるはずです。それにもかかわらず、効果をうまく伝えられないと、経営層から見れば「コスト」に見えてしまいます。

研修の効果測定を成功させるカギは、シンプルですが「見える化」にあります。
研修の目的を明確にし、「その目的に対して、どこまで達成できたのか」を測ることです。
この筋道が通っていれば、研修の価値はぐっと説明しやすくなります。

逆に言えば、目的があいまいなまま研修を企画してしまうと、後からいくら数字を集めても、「結局、何が良かったのか」がぼやけてしまいます。だからこそ、企画段階から「何のための研修なのか」「何ができるようになれば成功と言えるのか」を言語化しておくことが重要です。

本コラムでは、研修効果を「なんとなくの手応え」から一歩進めて、数字とストーリーで説明できる状態にするためのポイントをご紹介します。
自社の研修を、受けっぱなしで終わらせない「成果の出る投資」に変えていくヒントになれば幸いです。

1.ありがちな「効果測定の落とし穴」

研修効果を高めたいと思っていても、「測定の仕方」が間違っていると、本来得られるはずの成果がぼやけてしまいます。
まずは、多くの企業が陥りがちな典型パターンを整理しながら、「なぜ効果が見えなくなるのか」を具体的に見ていきましょう。

①満足度アンケートだけで“効果があった気”になる

最もよくあるのが、「研修後アンケート=効果測定」になってしまうケースです。
アンケートでは、次のようなコメントが並びがちです。

  • 「講師の話がわかりやすかった」
  • 「参加型で楽しく学べた」
  • 「現場で使えそうだと思った」

もちろん、こうした受講者の“反応”は大切です。
ただし、これはあくまで「感想レベル」であり、研修の本質的な効果とは別物です。

研修はあくまで、

  • 行動が変わったのか?
  • 結果にどんな影響が出たのか?

を測るべきものです。

満足度アンケートだけに頼ってしまうと、研修が“良い雰囲気だった”ことは分かっても、組織にとって価値があったのかどうかは判断できないのです。

②目的が抽象的すぎて、測りようがない

次に多いのが、「目的がふんわりしている」ケースです。

  • マネジメント力の向上
  • コミュニケーションの強化
  • リーダーシップの発揮

どれも重要なテーマですが、このままでは指標に落とし込めません。
たとえば、「マネジメント力の向上」と言われても、上司が聞きたいのは、
「結局、どんな行動が増えたの?」という具体です。

目的が曖昧だと、効果測定の段階で必ず行き詰まります。
しっかり成果を見える化するためには、「どんな行動ができる状態をつくりたいのか」を最初から明確にすることが欠かせません。

③データを集めても、活用されず“溜まるだけ”になる

効果測定の仕組みをつくっても、次のような状態になっている企業も少なくありません。

  • 現場に記録をお願いしても、入力が続かない
  • アンケート結果を集めたものの、誰も見ない
  • データ分析に手間がかかり、結局報告できない

こうなる原因の多くは、「測ること」が目的化してしまうことにあります。
本来、効果測定は「改善のため」「成果を示すため」に行うもの。
しかし、測定設計が複雑すぎたり、現場負担が大きかったりすると、運用が続かなくなってしまうのです。

測定が継続しない研修は、成果も継続しません。
大切なのは、シンプルで回しやすい測定設計にすることです。

④研修と現場がつながっておらず、変化が起きない

意外と見落とされがちな落とし穴が、「研修と現場が断絶している」状態です。

  • 上司が研修内容を知らない
  • 部署ごとに学びの活かし方に差が出る
  • 研修後のフォローがなく、行動が続かない

この状態では、せっかく学んでも習慣化されません。
研修は、現場とセットで設計することで初めて、行動変容と成果につながるのです。

ここまで見てきた4つの落とし穴に共通するのは、
「研修の目的」と「何を測るか」が一致していないという点です。

  • 満足度だけでは浅すぎる
  • 抽象的な目的では測れない
  • 複雑な測定は続かない
  • 現場と分断された研修は行動につながらない

効果測定を成功させるには、まずこの「ズレ」をなくすことが第一歩になります。
ここをクリアにすれば、研修の価値は自然と見えるようになり、現場も動きやすくなります。

2.研修効果の「3つのレイヤー」で考える

研修効果を見える化するためには、まず「何を成果として扱うのか」を整理する必要があります。そこで役立つのが、研修効果を3つのレイヤーで捉える視点です。

①レイヤー1:受講者の“反応”に関する変化

最初のレイヤーは、もっとも測りやすい「受講者の反応」レベルです。
研修後アンケートで得られる内容は、ほとんどがこの領域に該当します。

たとえば、

  • 内容のわかりやすさ
  • 業務への活かしやすさ
  • 研修そのものの満足度

などがこれにあたります。

このレベルは、いわば「研修の第一印象」。
受講者が前向きに学んだかどうかは重要で、ここが低いと行動変容も起きにくくなります。
ただし、反応が良い=成果が出るとは限らない点に注意が必要です。
あくまでスタート地点であり、「ここだけで評価を終えないこと」がポイントです。

②レイヤー2:受講者の“行動”は変わったか

2つ目が、研修効果を測るうえで最も重要となる「行動レベル」です。
研修の本質は、知識や気づきではなく、実務での行動が変わるかどうかにあります。

たとえば、

  • 1on1の実施頻度が増えた
  • フィードバックの質が上がった
  • 会議での質問・ファシリテーションが増えた
  • ミス発生時の初動対応が速くなった

こうした行動の変化は、研修目的によくひもづく指標になります。

行動レベルの測定が必要な理由は、行動が変わらない限り、組織は変わらないからです。
「理解した気がする」「使えそうだった」という感想は、行動につながらなければ意味を持ちません。
そのため、このレイヤーを見える化できるかどうかが、研修設計の質を左右します。

③レイヤー3:組織・業績としての“結果”が生まれたか

3つ目は、最もインパクトのある「結果レベル」です。
研修の狙いが、最終的に組織やビジネスの成果につながったかを見ていきます。

たとえば、

  • 離職率の低下
  • 生産性の向上(例:売上・処理件数の増加)
  • クレーム件数の減少
  • エンゲージメントスコアの上昇
  • 顧客評価(NPS)の向上

など、組織全体の変化がここに含まれます。

ただし、このレイヤーは「研修だけの効果」とは言い切れません。
研修後の現場の取り組みや、組織環境の変化など複数の要因が影響します。
そのため、結果レベルは“研修単体の評価”ではなく、
「研修→行動変容→組織成果」という流れの中で、研修がどの部分に貢献したのか
という“因果のストーリー”で捉えるとよいでしょう。

研修の効果を正しく伝えるには、3つのレイヤーをバラバラに扱うのではなく、ひとつの流れとしてつなげて語ることが重要です。

反応が良かったから行動が変わり、行動が変わったから組織成果につながった。

このストーリーをつくれると、研修は「コスト」ではなく、明確な投資対効果を持つ“戦略的な打ち手”として社内で評価されるようになります。

3.「目的→行動→指標」の順で設計する

研修効果を“見える化”するために、最初に押さえるべき原則は、「目的→行動→指標」の順で設計することです。
この流れを守ることで、効果測定は驚くほどシンプルになり、成果の説明もしやすくなります。

①まずは“目的”を一文で言い切る

多くの企業で最初に躓くのが、研修の目的が曖昧なまま企画が進んでしまうパターンです。
「リーダーシップを強化する」
「コミュニケーション力を高める」
こうした表現は綺麗ですが、抽象的すぎて測定につながりません。
重要なのは、“誰が・何を・どの状態まで”を一文で明確にすることです。

たとえば、
「新任管理職が、部下との1on1を月1回確実に実施し、育成対話を増やす状態をつくる」

このレベルまで言語化できて初めて、次のステップに進むことができます。
目的が具体的であればあるほど、「どんな行動を見ればよいか」が自然と見えてくるのです。

②目的を“行動”に分解する

目的が明確になったら、次はそれを具体的な行動に分解します。
ここが曖昧だと、研修後に何を測定すればよいのか判断できなくなります。

たとえば、先ほどの目的を行動に分解すると…

  • 1on1を月1回以上実施する
  • 面談の冒頭で、部下の状況を確認する質問を必ず行う
  • 面談の最後に「次の一歩」を言語化する
  • 部下が7割話す時間を確保する

このように、誰が見ても「できた/できない」が判断できる形まで落とし込むことがポイントです。
行動が具体的であれば、研修内容も設計しやすくなり、現場での実践も習慣化しやすくなります。

③行動に紐づく“指標”を決める

行動が明確になったら、「何を測るか」を決める段階に入ります。
ここでよくある失敗が、いきなり指標から決めてしまい、複雑すぎる設計になって続かなくなるケースです。

行動に紐づく指標の例として、

  • 1on1の実施率(対象部下のうち何%に実施したか)
  • 1on1の回数(回/月)
  • 面談を受けた部下の簡易評価(5段階)
  • 次のアクションが設定された割合

などが挙げられます。
ポイントは、最初から完璧を求めず、最低限の変化が見える“シンプルな指標”に絞ることです。
運用しながら徐々にブラッシュアップすればよく、効果測定は“続けること”に価値があります。

④測定の“タイミング”と“方法”を決める

指標を決めたら、次は「いつ」「どうやって測るか」を設定します。

  • Before/Afterで変化を比較する
  • 3か月後・6か月後のフォローを入れる
  • 上司アンケートや1on1の記録と連動させる
  • 受講者と上司のペアで確認する

こうした仕組みを設計しておくと、研修の学びが徐々に実務に結びついていきます。

測る目的は「管理するため」ではなく、現状を把握して改善につなげるためです。
測定→振り返り→改善のサイクルが回りはじめると、研修は“やって終わり”ではなく、確実に成果を生む仕組みへと変わります。

研修効果を見える化するうえで最も重要なのは、指標は“目的から逆算して決める”ことです。

  • 目的が明確
  • 行動が具体
  • 指標がシンプル

この流れを守れば、研修の価値は自然と伝わるようになります。

4.効果測定を「仕組み」に組み込むコツ

研修効果を一時的に測るだけでは、不十分です。
本当に成果を出すためには、効果測定を“仕組み”として組み込むことが欠かせません。
現場に負担をかけすぎず、それでいて確実に成果が見える仕組みをつくるためのポイントを整理していきます。

①企画段階から「何をどう測るか」を決めておく

最も重要なのは、効果測定を研修担当者が後から考えるものにしないことです。
研修企画の最初期段階から、以下のような項目を明確にしておきます。

  • この研修の最終的な目的は何か
  • 成果を示す“行動指標”はどれか
  • いつ、どのような方法で変化を測るか
  • 集めたデータを誰が、どのように活用するのか

これらをあらかじめ決めておくことで、研修内容と効果測定が自然と連動し、
「測りやすい研修」「成果が伝わる研修」に変わります。

逆に言えば、この事前設計が曖昧な状態では、
どれだけ立派な研修プログラムでも成果の説明ができないまま終わってしまいます。

②現場マネジャーを“測定のパートナー”にする

研修効果測定がうまくいかない企業には、共通して「現場との断絶」があります。
研修担当者だけが効果測定をしても、現場で行動が変わらなければ成果にはつながりません。

そこで重要なのが、現場マネジャーを巻き込むことです。

  • 研修前に「期待する行動」を上司と共有する
  • 研修後に、上司が部下へ「何を学んだ?何をやる?」と確認する
  • 1〜3か月後に、上司アンケートで行動変化をチェックする
  • 1on1やチーム会議で、研修を話題にする

こうした取り組みを組み込むだけで、
研修が「人事部のイベント」から「現場の育成活動」へと位置づけが変わります。
上司の関与が高いほど、研修後の行動定着率は飛躍的に高まります。

③完璧な仕組みをつくらない。“小さく始めて改善する”が正解

効果測定が続かない企業に多いのが、最初に完璧を目指しすぎるパターンです。

  • 指標を細かく設定しすぎる
  • 現場の記録が負担になり、入力されない
  • データが複雑すぎて、集計が追いつかない
  • 結局、誰も見ない

これでは本末転倒です。「仕組み」は運用されてこそ価値があります。

そこでおすすめなのが、「小さく始めて、運用しながら改善する」アプローチです。

たとえば…

  • まずは主要指標を1〜2個だけ設定する
  • 年度途中で項目を1つ追加する
  • 次年度にレポート形式を改善する
  • 成功パターンだけ横展開する

このように、最小限で回る仕組みからスタートするほうが、長続きし、結果として効果も高まります。

④データを“見える化”し、対話のきっかけにする

効果測定はデータを集めるだけでは意味がありません。
むしろ重要なのは、データを現場の対話につなげることです。

  • 部署別の行動指標を比較して、改善ポイントを議論する
  • 1on1で、研修後の行動を一緒に振り返る
  • チーム会議で“成功した行動”を共有する
  • 経営層へ成果を報告し、次の投資判断に活かす

データを使ったこうした対話が増えるほど、研修は「単発イベント」から、「組織文化をつくる仕組み」へと進化します。

効果測定を仕組みに組み込む際に最も大切なのは、測定を“管理のための道具”として扱わない姿勢が大切です。

本質は、

  • 行動を定着させるため
  • 組織として成長するため
  • 研修の価値を最大化するため

にあるのです。

5. 研修の価値は「見える化」してこそ伝わる

研修は、単発のイベントではありません。
本来は、組織の行動や成果を変えるための“投資”です。
しかし、その価値が社内で十分に伝わっていないケースは少なくありません。
理由は、研修の成果が見える形になっていないからです。

そこで重要になるのが、「見える化」の視点です。
見える化とは、単に数字を並べることではありません。
①目的を明確にし、②行動の変化を捉え、③組織成果とのつながりを説明する──この3つを一つのストーリーとして示すことです。

たとえば、研修後アンケートの満足度だけでは、成果を語るには不十分です。

  • 行動がどの程度変わったのか
  • チームにどんなプラスの影響が出たのか
  • 業務指標にどのような兆しが現れているのか

こうした情報が揃えば、研修は“なんとなく良い取り組み”ではなく、「組織の成長に貢献する施策」として明確に位置づけられます。

見える化の本当の価値は、現場との対話が生まれることです。
数字と事例をもとに話し合うことで、行動が定着し、研修が次の改善につながります。
まさに、「測定→振り返り→改善」のサイクルが回り始めるのです。

完璧な仕組みを最初からつくる必要はありません。
まずは一つの研修から、目的・行動・指標をシンプルに設定し、Before/Afterを比較する。
この小さな一歩が、研修の価値を社内に伝えるための大きな前進になります。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

無料相談・資料請求はこちらから!

    研修に関するご相談、お見積り、各種資料請求はこちらからお願い致します。お問い合わせから3営業日以内にご連絡致します。
    研修名

    お問い合わせ内容をご選択ください
    (複数選択可)*


    貴社名*

    所属部署名*

    氏名*

    電話番号*

    ご住所*

    メールアドレス*

    お問い合わせ内容・備考

    お役立ち研修動画 (1)
    タイトルとURLをコピーしました