目標に対して前向きに取り組めるかどうかは、
「自分はできる」と思えるかどうかに大きく左右される。
自分はできるという自分への信頼が「自己効力感」である。
困難な状況に直面したとき、
自己効力感が高い人は、困難な状況を克服しようと努力する。
困難な状況を自分が成長できるチャンスと捉えることができる。
自己効力感の低い人は「できないかもしれない」と考える。
努力する気力を持つことができない。
人は「自分ができそうだ」と思えればがんばることができる。
「できそうにない」と思っていると積極的になれないのである。
自己効力感を生み出す要因として、以下の4つが挙げられる。
⑴達成体験:自分自身で成功したり、達成したという体験
⑵代理体験:他者の成功や経験を観察して、自分にもできそうだと感じる体験⑶言語的説得:自分に能力があると言語的に説得される
⑷情緒的高揚:酒などで気分が高揚すること。一時的で、すぐに消失する
リーダーとして必要なのは、
メンバーに「自分もできるかもしれない」と思ってもらうように、
自己効力感の源泉に働きかけることである。
1.小さな目標を設定して達成まで導く
達成体験を得るには、小さな成功を数多く経験することである。
そのためには、小さな目標を設定して一つずつ達成していくのが有効。
「これぐらいならできるかも」と思えるゴールを設定して、
達成経験を積み重ねて、やる気を引き出していくことがポイント。
2.キャリアターゲットを設定する
憧れは、モチベーションを維持するのに役立つ。
社内、社外にかかわらず、
「あんな人になれたらいいな」「あれくらいできたらカッコイイな」
と思えるようなモデルを見つけることができれば、
「自分もあの人のようになりたい」と思えるきっかけになる。
経験豊富なリーダーが、
自分の失敗談やこれまでどのように学んできたのかを語るのもよい。
「リーダーにもそんな時期があったんだ」とわかれば、
「自分にもできるかもしれない」と思えるようになるからである。
3.強みや能力についてフィードバックする
根拠なく「君ならできる」と言われて、
「では、やってみよう」と思うほど、人は単純ではない。
リーダーがメンバーにフィードバックするとき、
「なぜ、できると思うのか」という理由を説明する。
そうすれば、メンバーは、「なるほど、もしかしたらできるかもしれない」と思えるようになる。
そのためには、
リーダーは普段からメンバー一人ひとりを観察して、強みや能力について、把握しておく必要がある。
メンバーの自己効力感を高めることは、チームの仕事の成否を左右し、
メンバー自身の人生の質にも大きく影響するのである。