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KPI研修で目標達成できる組織を作るには?効果的な運用方法とポイントを解説

KPIは、ビジネスで目標を達成するために必要となる重要なプロセスを数値化した指標で、目標達成において重要な役割を担います。KPIを正しく設定することは、組織の目標を達成する上で必要不可欠です。

KPIを用いてマネジメントすることで、目標や目標達成のためのプロセスが明確になり、達成度合をチェックすることで、組織のパフォーマンス状況が確認できるのです。

1.KPIマネジメントとは

KPIマネジメントは、ビジネスを行ううえで欠かせない手法の一つです。KPIとKPIマネジメントについて、確認しておきましょう。

KPIとは

KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。

ゴールとなる目標数値を達成するために、ゴールまでのプロセスの途中で定期的に業績を評価して達成状況を把握するために使用されます。

KPIを設定することで、「何をすべきか」「目標を達成するためにどれだけの成果が必要か」などが把握できます。

KPIは一つではなく、複数の項目を設定します。それによって多角的に達成状況を分析でき、目標と現状とのギャップを見つけやすくなります。

<KPIの例>

・新規商談数

・リピート率

・問い合わせ数

・顧客単価

・問い合わせからの商談化率

KPIマネジネントとは

KPIマネジメントとは、ゴールとなる最終目標を達成するために設定したKPIを管理することです。KPIは、ただ設定すればよいというわけではなく、計画通りに進んでいるかをチェックしなければなりません。KPIが達成できそうにない場合は対策を講じる必要があり、そのような管理を行うのがKPIマネジメントです。

KPIマネジメントでは、KGI、CSF、KPIを設定することで、目標達成を目指します。

各組織において重要と考えられる活動・施策に対する成果目標と目標値をKGIです。KGIを達成するにあたり、決定的な影響を与える活動や施策をCSFとして考え整理します。CSFに対する管理指標・基準値がKPIとなります。

◇KGI

KGIは「Key Goal Indicator」の略称で、日本語では「重要目標達成指標」です。ビジネスで達成すべきゴールとなる目標のことで、一般的には売上額や利益額などです。

KPIが目標達成するまでの中間指標であるのに対し、KGIは最終目標(ゴール)となります。マネジメントを考えるうえでは、まずKGIを設定し、設定したKGIを分解して、KPIを設定するという順番になります。

<KGIの例>

・売上額

・利益額

・成長率

◇CSF

CSFは「Critical Success Factor」の略称で、「重要成功要因」と呼ばれます。「成功するための要因」、つまり、「目標の達成や成長などを実現するうえで何が大切か?」が、CSFです。

KPIと違って必ずしも数値化できない定性的な要素も含みます。「事業が成長したり、顧客に選ばれたりするために何が大切か?」という視点でCSFを考え、CSFを指標としたときに、どのようにマネジメントしていくかを考えます。 

<CSFの例>

・自社しか提供できない差別化されたサービス

・登録したお客さんの使い勝手

・良いサービスが受けられる期待感の醸成

・お客さんへの認知度

・有料利用した顧客のリピート率

2.KPIマネジメントの必要性

KPIマネジメントはなぜ必要とされているのでしょうか。

ビジネス環境の変化

近年はインターネットの普及やコロナ禍の影響により、ビジネス環境は大きく変化し、価値観の多様化で消費者のニーズも複雑になってきています。

このような時代では、消費者のニーズをいち早く察知して対応できる企業が競争に勝ち抜けるのです。現状の立ち位置を把握して、状況に応じて速やかに軌道修正して目標を達成するために、KPIマネジメントが重要になります。

生産性の向上

KPIマネジメントは、生産性を向上するためにも重要です。

少子高齢化を背景に労働力不足が深刻化しており、限られたリソースの中で生産性を最大化しなければなりません。リソースを適切に配分して生産性を向上させるために、現状を見える化する仕組みが必要です。

KPIマネジメントで重要な課題にフォーカスして、それに関する業務にリソースを集中することで、事業の効率化を図ることができます。

人材の多様化

企業で働く人材の多様化に対しては、適切なKPIマネジメントをすることで対応できます。

近年はダイバーシティが進み、国籍・性別・障害・年齢などの多様な人材の雇用も促進されています。

一方で、さまざまな価値観が取り入れられ、非正規雇用やテレワークなど働き方も多様化することによって、社内の足並みが揃わないという課題も出てきています。

KPIマネジメントで共通の目標と進捗状況を共有することで、チーム力を高めて業務を円滑に進めることが必要になってきています。

3.「KPI活用の目標管理研修」で学ぶ設定手順

KPIを設定する手順は、次の5つのステップに分けられます。

KGIを設定する

KPIを設定する前に、その前提条件となる最終ゴールであるKGIを設定します。KGIを設定するときは、売上高や利益率などの具体的な数値と達成するまでの明確な期間を定めます。

KGIは達成可能な目標であると共にストレッチ目標でなければなりません。達成不可能な目標ではKGIを設定する意味がありませし、簡単に達成できてしまう目標ではモチベーションの向上や会社の利益につながりません。

ストレッチ目標としてKGIを明確に設定することで、それを現実に達成する方法を社員同士で検討して、社内で協力しながら積極的に業務を進めることができます。

CSFで細分化する

CSFを活用してKGIの細分化を行います。経営資源は有限なので、KGI達成のために必要な全ての要因に十分なリソースをあてることはできません。

CSFの設定によってKGIを細分化して、KGI実現に向けての優先すべき要因の明確化と、どの領域に重点的に配分をするかを検討して、効率の良い経営戦略を立てます。

CSFを設定するときには、次の2点がポイントです。

➀企業の戦略や方針に合わせる

CSFを設定する上で、企業の戦略や方針から大きく離れてはいけません。KGIを元にして、企業の戦略や方針に合わせたCSFを設定する必要があります。経営戦略に関係のない部分にリソースを割いても無駄になってしまうため、必ずKGIに沿ったCSFを設定するようにしましょう。

➁環境を考慮して細分化する

CSFの設定では、市場の動向などの外部環境や、自社の強みなどの内部環境を考慮しましょう。外部環境と内部環境で細分化して分析を行い、それぞれから要因を明確化します。

CSFは環境の変化によって変更する必要があるという点を頭に入れておきましょう。

KPIを設定する

KGI実現に向けて、より具体的な数値目標であるKPIを設定します。KPIは関係者にとって分かりやすく、具体的なビジネス活動に直結するものであり、評価基準が明確である必要があります。

CSFで設定したものの中で、KGIに直結するものに絞り、具体的な数値に落とし込むことがポイントです。KPIは達成可能な数値に設定しましょう。

KPIを設定するときには、「SMARTの法則」を意識することが大切です。

SMARTの法則とは、目標を達成するための5つの成功因子「Specific(具体性)」「Measurable(計量性)」「Achievable(達成可能性)」「Related(関連性)」「Time-bound(期限)」の頭文字を取ったフレームワークです。

■SMARTの法則

Specific
(具体性)
組織メンバー全員が正しく目標を理解するために、誰が読んでもわかる明確で具体的な表現や言葉で書き表す
Measurable
(計量性)
目標は達成できたかどうかが問われる。目標の達成度合いが定量的に測定できる必要がある
Achievable
(達成可能性)
希望や願望ではなく、その目標が達成可能な現実的内容かどうかを確認する
Related
(関連性)
設定した目標が組織の上位目標と関連して整合性が取れていることが大切
Time-bound
(期限)
いつまでに目標を達成するのか、適切な期限を設定する

KPIツリーを作成する

KPIを細分化して、達成までの行動を分かりやすくするために、KPIツリーを作成します。目標の達成のためには何が必要なのか、どのようなフローをこなしていけばよいのかなど、一目で全体像の把握ができるようにします。

KPIツリーを通して、最終目標であるKGIがどのような数値目標として細分化されたのか、その細分化されたKPIがさらにどのような目標へと分けられたのか、が視覚化できます。

全てのプロセスの頂点に位置するものがKGIであり、設定したKGIを達成するには何を実行し、どのような施策を行うべきかをフローで示されている状態です。

KPIを評価して改善する

定期的に目標の進捗度合いを計測して、KPIの妥当性や目標への取り組みを評価します。

KPIの精度を高めるには、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の繰り返しが必要です。計測や評価の仕組みを導入することで、より精度の高いKPI設定ができます。

4.KPIを数値化できないときの対処方法

KPIを数値化して設定することが重要ですが、業種や目標によっては数値化が難しいことがあります。

数値化が難しい場合、どのような方法でKPIを設定すればよいでしょうか。

結果に着目した設定をする

達成したい目標自体を数値化するのではなく、その目標が達成されることによって、どんな変化が生じるかに着目してみましょう。

例えば、「接客力を向上する」という目標であれば、接客力が向上した結果どうなるのかという結果に着目します。接客力が向上すれば、「売上が〇%増加する」するという成果につながる可能性があります。そうすれば、その目標に向けて「新規顧客獲得数〇件」などの具体的な数値目標のKPIを設定することができます。

目標達成に向けて必要なプロセスに着目する

目標達成のために必要な行動に目を向けてみましょう。

例えば、「社員の英語力を高める」という目標を設定しようとした場合、英語力を高めるためにどのようなプロセスが必要かを考えます。

英語力を高めるためには継続的な学習の機会が必要です。毎週社内でテストを実施して合格のためのボーダーラインを定めるようにすれば、KPIとして数値化することができるでしょう。

アンケートなどを利用して第三者の評価を得る

顧客アンケートや従業員アンケートなどを使って、評価を得る方法があります。定期的にアンケートを実施して集計することで、評価点を目標として数値化することができます。

アンケートによって得られた意見や感想は、強み・弱みや改善点を明確にし、戦略の方向性を決定するためのベースとなります。

5.KPI活用の目標管理研修のポイント

KPI活用の目標管理研修の狙いと期待する成果については、次のようになります。

狙い

組織目標を達成するためには、担当する自部門の活動を計画に落とし込み、数値指標でコントロールする必要があります。そのための重要な指標が「KPI」です。KPIの設定の良し悪しでマネジメントの質が大きく変わります。

この研修では、事業のゴールの数値目標である「KGI」を達成するための成功の鍵が「CSF」であり、数値目標が「KPI」になるという関係を再確認します。KPIで管理するべき活動を選定、指標化して、期中の活動においてどのように管理していけばよいかを学びます。

期待する成果

「KGI」「CSF」「KPI」の関係性を理解して、KPIマネジメントを推進できるとともに、目標設定において、何を目標基準にし、いつまでにどの水準を実現するかを設定することができます。

目標水準がメンバーのスキルを考慮して妥当なものかどうかが判断できるようになります。定常業務や定性的な課題に対しても数値目標を設定できることを認識することができます。

6.イントランスのKPI活用の目標管理研修

事業のゴールの数値目標である「KGI」を達成するための成功の鍵が「CSF」であり、数値目標が「KPI」になるという関係を再確認します。KPIで管理するべき活動を選定、指標化して、期中の活動においてどのように管理していけばよいかを学びます。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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