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考える社員を育てるには?主体性を引き出す研修のコツ!指示待ちを脱却し、自ら動く人材を育てるために

考える社員を育てるには?

「言われたことはやるけど、自分で考えて動かない」
「もう少し自分で考えて行動してくれたら助かるのに…」

そのように、部下や若手社員に対して感じたことはありませんか?

多くのマネジャーや人事担当者が抱えるこの悩み。その背景には、企業内での育て方の設計にヒントがあるかもしれません。

本コラムでは、「考える社員」「主体的に動ける人材」を育てるために、人材育成施策や研修をどのように設計すればよいかを整理していきます。
知識を与えるだけで終わらせない、「思考」と「行動」を引き出す設計のポイントとは?
現場で実際に変化が起きる研修の工夫をご紹介します。

1.なぜ考えない社員が増えているのか?

「自分の頭で考えようとしない」「指示がなければ動けない」
そんな社員が増えたと感じる場面はないでしょうか?
しかし、それは本人の資質の問題ではなく、組織や育成のあり方が影響している可能性があります。
なぜ考えない社員が生まれてしまうのか。その背景を見ていきましょう。

まず考えたいのは、社員が「考えない」のではなく、「考える必要がない環境」に置かれているケースが多いという点です。
例えば、マニュアルが整備されすぎている、業務がルーチン化している、上司の指示が細かくすべて決まっている…。
こうした環境では、「むしろ考えないほうが効率がよいのでは」という考えが働きます。

また、「失敗を許さない空気」も一因です。
間違えることに過敏な組織では、社員は萎縮し、「無難に指示を待つ」という行動様式に流れがちです。
挑戦よりも正解探し、創意工夫よりもリスク回避が優先される風土では、主体性や思考力は育ちにくくなります。

さらに、育成スタイルの影響も見逃せません。
「教える=答えを与える」ことが中心になると、社員は指示を待つ姿勢になってしまいます。
考える力は、問いを与え、思考のプロセスを促す中でこそ育まれるものです。

つまり、考えない社員が生まれる背景には、本人の能力の問題ではなく、
「考えさせない仕組み」「正解ばかりを求める文化」「失敗を恐れる風土」
といった、環境要因が大きく関わっているのです。

2.主体性を引き出す研修設計、3つの原則

「考えない社員」を「考える社員」へと変えていくためには、知識の詰め込み型の研修では不十分です。
必要なのは、考える習慣を身につけさせるための設計思想です。
社員の主体性を引き出し、自ら動く力を育てるために押さえるべき、研修設計の3つの基本原則を紹介します。

原則1:正解を教えすぎない

研修の場ではつい「正解」を示したくなりますが、あえてそれを控えることが重要です。
正解を与えられると、受講者は「思考停止」になりやすくなります。
大切なのは、問いを与えて考えさせること。
たとえば、「あなたならこの場面でどう対応しますか?」「なぜそう考えたのですか?」といった問いかけを使うと、受講者の内側から思考が動き始めます。

人は、自分で考えたことには責任と興味を持ちやすくなります。
答えを与えるよりも、「問いかける」「迷わせる」設計が、主体性を呼び覚ます第一歩です。

原則2:視点を拡げる「問い」を設計する

考える力を育てるには、視野を広げる問いが必要です。
その際に有効なのが、「Why(なぜ)?」と「If(もし〜なら)?」という2つの問いです。

  • Why?(なぜその選択をしたのか?):思考の深掘りにつながります
  • If?(もし状況が違ったら?):視点の切り替えと柔軟性を促します

例えば、「なぜその対応を選んだのか?」「もし相手が別のタイプだったら、どう対応を変えるか?」といった問いが、社員の思考の幅を広げます。

原則3:小さな成功体験を組み込む

最後に大切なのは、「考えて行動した結果、うまくいった」というポジティブな体験を組み込むことです。
成功体験は、次の行動を促す最大のエネルギーになります。

たとえば、研修中に「自分で考えて出した提案が、グループ内で評価された」といった経験は、それだけで「考えて動くこと」に前向きになれます。

完璧を求めすぎず、「まず一歩踏み出してみる」「試してみて、意外な成功体験につながった」という小さな手応えを感じさせることが、主体性を支える土台になります。

3.主体性を育むための研修手法と工夫

主体性は「教えて身につくもの」ではなく、「自ら考え、動き、実感するプロセス」の中で養われます。
そのためには、研修設計にもひと工夫が必要です。
ここでは、社員の考える力自ら動く力を引き出すために効果的な3つの研修手法と、それぞれの工夫ポイントをご紹介します。

手法1:ケーススタディで「判断力」を鍛える

現実にありそうな状況を題材にして、自分ならどうするかを考えるケーススタディは、思考の筋トレとして効果的です。
ただし、単に「考えて終わり」にしないことがポイント。
判断のプロセスを言語化することで、自分の思考の癖や偏りに気づくことができます。

たとえば、「Aの対応を選んだ理由は?」「B案では何が足りないと感じたか?」と問いかけ、判断の根拠や背景まで掘り下げる設計にすることで、より深い思考力が養われます。

手法2:ロールプレイで「主体的な行動」を試す

考えたことを行動に移すには、「試してみる場」が欠かせません。
ロールプレイは、自らの言動を体験的に学べる貴重な手段です。
特に、「上司役」と「部下役」を交代で経験することで、相手視点にも立てるようになります。

さらに効果を高めるには、状況をあえて曖昧にすることで、思考の幅が広げるのも一つの工夫です。「どこまで言っていいか迷う」「相手の反応に戸惑う」
そんなリアルな迷いを体感させることで、思考と行動の往復練習が可能になります。

手法3:現場課題の持ち込みで「実務との接続」

研修内で、実際の業務課題を持ち込ませる手法も非常に有効です。
参加者は「自分ごと」として課題に向き合うため、思考が深まり、主体性も自然に引き出されます。

進め方の一例としては、

  • 各自が「今、職場で悩んでいること」を紙に書き出す
  • グループで意見交換し、解決のヒントを探る
  • 最後に「自分が試したい一つの行動」を決める

このように、研修を現場での第一歩につなげることで、実践に向けたモチベーションが格段に高まります。

こうした研修手法は、単に「知識を与える」のではなく、「自ら考え、行動し、振り返る」循環をつくることに意味があります。

4.社員の考える力を引き出すファシリテーションとは?

「主体性を引き出す研修」を設計しても、運営する側の関わり方次第で効果は大きく変わります。
特に重要なのが、講師やファシリテーターの問いかけ方場のつくり方です。
ここでは、社員の思考を促し、自ら言語化させるためのファシリテーションのコツを紹介します。

ポイント1:「沈黙」は思考の証

研修中に沈黙が続くと、「誰も答えてくれない」と不安になり、つい講師が答えを提示してしまいがちです。
しかし、沈黙は考えている時間でもあります。
ファシリテーターには、この沈黙を「促す時間」として見守る覚悟が求められます。

沈黙を恐れず、「あえて待つ姿勢」を持つことで、参加者は自分の言葉で考え、発言する準備を整えることができるのです。

ポイント2:「問いかけ→待つ→引き出す」の基本動作

ファシリテーションの基本は、考えるきっかけを与え、思考を促し、言語化を支援することです。

たとえば、以下の流れが効果的です。

  1. 問いかける:「この場面では、どう対応しますか?」
  2. 待つ   :すぐに口を挟まず、参加者が考える時間を確保する
  3. 引き出す :「なるほど。他にも似た経験をした人はいますか?」

このように、問いの深さ待つ力が、参加者の主体的な思考を引き出す鍵になります。

ポイント3:安心して考えられる「心理的安全性」をつくる

どんなに良い問いを投げかけても、参加者が「否定されたらどうしよう」「恥ずかしい」と感じていては、思ったことを口にすることはできません。
だからこそ、心理的安全性のある場づくりがファシリテーターの重要な役割です。

具体的には、次のような姿勢が求められます。

  • 意見を遮らず、最後まで聴く
  • 間違いも気づきのきっかけとして受け止める
  • 多様な視点を歓迎することを明言する
  • ファシリテーター自身も「正解を持っていない」と伝える

「何を言っても大丈夫」と思える空気があるからこそ、参加者は本音を出し、自分の考えを深めることができるのです。

5.考える社員を育てる、実践研修デザインの一例

主体性を引き出す研修を実現するためには、単に手法や考え方を知るだけでなく、全体の流れをどう構成するかが極めて重要です。
ここでは、半日(3時間)で構成する研修を例に、参加者が「考え、言語化し、行動に移す」までのプロセスをどう設計するかを、具体的にご紹介します。

ステップ1:思考を促す導入ワーク(30分)

最初に行うのは、参加者自身の現状認識を深めるワークです。
例えば、「あなたの職場で主体的に動けている人指示待ちの人の違いは?」という問いを投げかけ、ペアやグループで共有してもらいます。
この時点では正解は不要。自分自身の経験や実感から、思考をスタートさせることが目的です。

ステップ2:ケースディスカッション(60分)

次に、実際の職場で起こりうるケースを題材に、対応案を考えるディスカッションを行います。ここでは「複数の正解があり得る問い」を用意し、判断のプロセスを言語化させます。

例:「部下から納得しがたい提案が出たとき、あなたならどう応じるか?」
この問いに対して、各自の対応パターンをグループで比較・検討しながら、視野を広げていきます。

ステップ3:現場課題の持ち込みワーク(60分)

後半では、受講者が自分の業務に直結したテーマを持ち込み、それについて深掘りします。
「最近うまくいっていないこと」「もう少し良くしたいこと」などを紙に書き出し、グループで対話します。
他者の視点を借りながら、問題の構造や対応の選択肢を検討します。
このステップでは、実務と研修をつなぐ橋渡しの役割が重視されます。

ステップ4:振り返りとアクション宣言(30分)

最後は、1日の学びを個人で振り返り、明日からの一歩を言語化して締めくくります。
「明日から、まずは○○をやってみる」という小さな行動目標を全員が言葉にし、グループ内で共有することで、学びの定着と実践の第一歩を確実にします。

このように、研修は「知る」→「考える」→「試す」→「決める」という流れを意識して設計することで、考える力を内発的に育てる土壌が整います。

6.考える社員を育てるには、仕組みと場が必要

「考える社員がほしい」と願うなら、まずはその考える機会考えた結果を実感できる場を提供することが重要です。
主体性は、本人のやる気だけで育つものではありません。問いを与え、言語化させ、試す機会をつくることで初めて芽生え、伸びていきます。

今回ご紹介したように、正解を与えるのではなく、
問いかける、視点を広げる、行動につなげる、
こうした設計思想が、社員の内発的な思考を引き出します。
さらに、ファシリテーターの関わり方や、安心して発言できる場づくりも大きなカギとなります。

研修は、行動変容のきっかけにすぎません。
重要なのは、その場での気づきを日常にどうつなげるか。
だからこそ、研修の最後に、
明日からやることを決める、現場で実践してみる、振り返る
というサイクルの仕組みをつくることが欠かせません。

考える社員は「育つ」のではなく、「育てるもの」です。
そのための土壌として、主体性を引き出す研修設計が、ますます求められています。

責任者プロフィール
竹村孝宏

中小企業診断士、キャリアコンサルタント、産業カウンセラー。大阪市立大学商学部卒業、豪州ボンド大学大学院経営学修士課程(MBA)修了。
㈱デンソーで企画、営業、人事、中国上海駐在を経験、「低コストプロジェクト」で社長賞を受賞するなど活躍した後、独立。現場での多くの経験をベースにした実践的コミュニケーション、モチベーションアップを軸としたプログラムを提供している。日経クロステックに連載中。著書は、「仕事が速い人は何をしているのか?ビジネスフレームワーク活用法」(セルバ出版)
「30代リーダーのための聞く技術・伝える技術」(中経出版)等、多数。

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